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2023年2月20日
Ecover: サステナブルな洗剤で多国籍企業にスケールアップ
【概要】
エコベールは、従来の洗剤に含まれるリン酸塩が水生生物や水路に害を与えていることを発見し、科学者と環境愛好家のグループによって1979年にベルギーで設立された会社です。当初から、リン酸塩を含まないだけでなく、より持続可能性の高い洗剤を作ることに重点を置いていたブランドで、エコベールは、洗濯、食器洗い、家庭用クリーニング、個人衛生用の洗剤とクリーナーを製造しています。すべての製品は生分解性があり、「Zero」ラインはアレルギーの原因となる香料、染料、酵素を使用していません。
1992年、国連は同社を、環境の保護と向上に顕著な功績のあった企業として「Global 500 Roll of Honor」リストに加えることを決定しました。また、2000年には「Steal our formula」キャンペーンを展開し、競合他社に自社製品の成分表を公開することでより持続可能な洗浄剤作りを約束させ、2009年には石油の代わりに砂糖の発酵から新しいエコ界面活性剤を生み出すなど、同社の歴史に大きな足跡を残しています。
創業当初は、環境への負荷がますます少なくなる洗浄剤の処方に主眼を置いていましたが、時が経つにつれ、プラスチック汚染への関心の高まりが同社の方針の中に位置づけられるようになりました。エコベールは現在Bコープであり、循環型経済についてコミュニケーションを通じて明確に語らないまでも、ループを閉じることを目指しています。
※Bコープ・・・B Corporationの略。社会や公益のための事業を国際的に認証されている企業。
【要点】
課題:水路や水生生物に害を与えない洗浄剤を作ること
背景:1979年当時、洗浄剤にはリン酸塩が大量に使用されており、グリーン洗剤や持続可能な洗剤は一般的ではありませんでした。サステナブルな洗剤は一般的ではありませんでした。
解決策:エコベールはグリーン洗浄剤市場のパイオニアであり、ヨーロッパで最も影響力のあるブランドの1つとなった。
影響評価:1993 年には、環境の保護と改善に顕著な功績があったとして国連グローバル 500 に選ばれ、新しいエコ界面活性剤を発見して特許を取得しました。
システムの視点:SCジョンソンのような多国籍企業グループの一員となったことで、エコベールが研究開発やアウトリーチプログラムに投資できる。また、上辺だけの環境配慮ではなく、グローバル企業として取り組んでいる証として機能する。
【事例概要】
エコベールは、従来の洗剤に含まれるリン酸塩が水生生物や水路そのものに害を与えていることを発見し、科学者や環境愛好家のグループによって1979年に設立されたベルギーの企業です。当初から、リン酸塩を含まないだけでなく、徐々に持続可能性を高めることができる洗剤を作ることに重点を置いていたブランドです。1980年代に地元の小さな会社からベルギーの主流ブランドに成長したエコベールは、2017年からSCジョンソン・グループの一員となりました。
エコベールは、洗濯、食器洗い、家庭用クリーニング、個人衛生用の洗剤とクリーナーを製造しています。同社の製品はすべて生分解性であり、「ゼロ」ラインはアレルギーの原因となる香料、染料、酵素を使用していません。
1992年には販売量の増加に伴い、ベルギーのマレに生産工場を建設し、当時としては高いエコロジー性能を特徴とし、その後もさらに改良を重ねました。また、国連は、環境の保護と向上に顕著な功績のあった企業として、同社を「グローバル500ロール・オブ・オナー」に掲載することを決定しました。これは、同ブランドがその歴史を通じて受賞してきた数多くの賞のうちの最初のものです。このほかにも、2000年に「Steal our formula」キャンペーンを実施し、競合他社に自社製品の成分表を公開することでより持続可能な洗浄剤作りを約束させたことや、2009年に石油の代わりに砂糖の発酵から新しいエコ界面活性剤を作り出したことなど、同社の歴史の中でマイルストーンとなる出来事がありました。
創業当初は、環境への負荷がますます少なくなるような洗浄剤の処方に主眼を置いていましたが、時が経つにつれ、プラスチック汚染への関心が高まり、会社の方針の中に位置づけられるようになりました。実際、エコベールはパッケージのリサイクル性を高める実験をいくつも始め、その後、二次利用されるプラスチックの量を増やし、植物由来のバイオプラスチックの実験も行っています。
さらに、ウォーターエイドなど、水や海を守る環境保護団体と共同で、いくつかのプロジェクトを立ち上げています。食器用洗剤「エコベール」では、容器に “オーシャン・プラスチック “を使用した限定品を発売しました。このプラスチックは、海からの廃棄物を安全かつ公正に回収することを目指すヨーロッパの「Waste Free Oceans」プロジェクトに協力して回収されたものです。ヨーロッパの漁師がお金を払ってヨーロッパのさまざまな海でプラスチックを獲り、港の回収ポイントに届ける。これにより、1回の漁で2~8トンのプラスチック廃棄物が回収され、エコベールはもちろん、他のダウンサイクルプロジェクトにも利用することができます。
また、エコベールは、ベルギー、イギリス、フランスの広大な店舗網で洗剤をまとめ買いできるようにすることで、詰め替えの理念を掲げている。エコベールは、循環型経済について明確なコミュニケーションを行っているわけではありませんが、クロージング・ザ・ループ(循環型経済)の実現を目指しています。また、B-Corp認証を取得し、エネルギー、水、炭素負荷の消費を常に管理しています。また、高い環境パフォーマンスを保証できるサプライヤーとの取引に力を入れています。さらに、原材料や副原料は、できるだけ地元、つまりベルギーやヨーロッパ圏内で調達しています。
【影響評価】
同社が発表した数字やコミットメントをいくつかご紹介します。
-環境保護と改善に顕著な功績のあった企業として、国連グローバル500ロールオブオナーに選出されました。
-100%リサイクルプラスチック(PCR)製で、リサイクル可能な洗浄液ボトルを発売します。
-2025 年までに 100%再利用可能、リサイクル可能、堆肥化可能なパッケージを使用することを目指しています。
-新しい代替エコ界面活性剤を発見し、特許を取得しました。
【システムの視点】
2021年、家庭用クリーナーの世界市場規模は約380億米ドルでした。この市場規模は近年拡大しており、今後も成長を続け、2026年にはおよそ470億米ドルに達すると予測されています。市場・消費者データを提供するStatistaは、「クリーニング製品の需要は、衛生の重要性や感染症の蔓延に関する消費者の意識もあり、拡大を続けている」と述べています。世界市場は、衛生状態の重要性と家庭の表面を消毒する必要性に注目が集まっていることから、その恩恵を受けています。”と述べています。
洗剤の使用量の増加は、Covid-19の大流行によるものでもあるので、人の健康を守るためには、必ずしもすべての面で良いことだとは言えません。洗剤の使用による環境負荷は膨大であり、以前から問題視されていた。洗剤や洗浄剤は一般に、その働きを発揮するために、脱脂力を高める界面活性剤が含まれています。これらの中には、石油化学製品由来で、生分解性がなく、抽出時、放出時のいずれにおいても環境への負荷が高いものがあります。また、界面活性剤以外にも、洗剤に含まれる合成物質も環境に対して問題となることがあります。例えば、家庭用洗剤に広く使われているアンモニアは、窒素と水素を原料としており、その多くは化石資源から得られるものです。生産工程で発生する産業廃棄物は、土壌に蓄積され、水底に浸透し、再び川や海を汚染し、動植物にも問題を引き起こす可能性があります。最近の科学論文(Mousavi, Khodadoost, 2019)によると、「洗剤は動植物に影響を与え、生態系に直接・間接的に影響を与える。富栄養化、発泡、および温度、塩分、濁度、pHなどのパラメータの変化がより重要であり、それらの影響を管理し制御する必要がある。研究者らは、好気性プロセスではほとんどの洗剤を分解できることを確認しましたが、嫌気性プロセスでは代謝経路が制限され、洗剤の毒性もあるため、分解は不可能です。したがって、環境にやさしい洗剤の生産は、世界中で重要な課題となっています。”
しかし、世界中の消費者の間で、持続可能性が最も重要な購買要因のひとつになりつつあるというのは、心強いことです。実際、グリーンな洗浄剤を提供する企業は増えています (Everdrop case も参照)。地域・国家規模のマイクロビジネスから、40 年の歴史を経て、SC Johnson など多国籍企業の巨大ブランドの一員となり、量を増やすことにした Ecover などのブランドまで、さまざまな企業があります。
これは、以下の理由もあり、必ずしもサステナブルな選択とは言えません。
1) S.C.ジョンソンは、ほとんどの場合、非サステナブルな製品を提供している。したがって、この買収は、環境にやさしい製品を求める市場の高まりに追随して、子会社のポートフォリオを多様化する計画の一部であると考えるのが妥当である、および
2)生産条件(ベルギー、フランス、スイスの3工場)を明らかに変えずに北米市場に参入することは、洗浄剤を海外に輸入することを意味し、そのためにカーボンフットプリントという点で、あらゆる問題があること。それでも、多国籍グループの一員であることの利点には、より持続可能なソリューションの研究開発への資金提供や、消費者の行動に広く影響を与えるコミュニケーションやマーケティングキャンペーンの開始などがあり、最終的には、身近な製品とその環境影響への関心と認識を高めることに役立っています。
出典:
Mousavi, S.A., Khodadoost, F. 洗剤の自然生態系および廃水処理プロセスへの影響:レビュー. Environ Sci Pollut Res 26, 26439-26448 (2019).
https://www.statista.com/markets/415/topic/470/cleaning-products/#statistic1
リンク・お問い合わせ先
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エコベール+メソッドのロングタームイノベーションのグローバル責任者 https://www.linkedin.com/in/tom-domen-3291228/
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*本件の写真はすべてエコベールのウェブサイトおよびソーシャルメディアチャンネルから引用しています。
Feb 20, 2023
Ecover: Sustainable cleaning products scale up into a multinational
#sustainable#resource#resource-management
【Abstract】
Ecover is a Belgian company founded in 1979 by a group of scientists and environmental enthusiasts following the discovery that phosphates in conventional detergents were causing harm to aquatic life and waterways per se. From the beginning, the brand focused on creating detergents that were not only phosphate-free, but could be progressively more sustainable. Ecover manufactures detergents and cleaners for laundry, dishwashing, household cleaning, and personal hygiene. All its products are biodegradable, and the “Zero” line is free of fragrances, dyes and enzymes that can cause allergies.
In 1992 the United Nations decided to include the company in the Global 500 Roll of Honor list for outstanding achievements in protecting and enhancing the environment. Other milestones in the company’s history include the “Steal our formula” campaign in 2000, which challenged its competitors to commit to making more sustainable cleaning products by making the ingredient list of its products public, as well as the creation of new eco-surfactant from sugar fermentation instead of petroleum in 2009.
While in the early years, the company’s main focus was on formulating cleaning products that were increasingly less impactful on the environment, over time, the growing concern about plastic pollution began to take its place in the company’s policies. Ecover is now a B-Corp, and even if they do not speak explicitly through its communication about a circular economy, it aims to close the loop.
【Main Highlights】
Problem: Creating a cleaning product that doesn’t harm the waterways and the aquatic life
Context: In 1979, there was massive use of phosphates in cleaning products and green or
sustainable detergents were uncommon
Solution: Ecover pioneered the green cleaning product market and became one of the most influential brands in Europe
Impact Statement: In 1993, they were included in the UN Global 500 Roll of Honour for outstanding achievements in protecting and improving the environment, discovered and patented a new eco-surfactant and aim now at using 100% reusable, recyclable or compostable packaging by 2025
Systems Perspective: Being part of a multinational group like SC Johnson allows Ecover to invest in research and development and outreach programs, but it could also act as a token for the global company in a greenwashing strategy
【Case overview】
Ecover is a Belgian company founded in 1979 by a group of scientists and environmental enthusiasts following the discovery that phosphates in conventional detergents were causing harm to aquatic life and waterways per se. From the beginning, the brand focused on creating detergents that were not only phosphate-free but could be progressively more sustainable. A commitment that the company maintains after more than 40 years, despite the significant change in scale: grown from a small local company to a mainstream brand in Belgium back in the 1980s, Ecover has been part of the SC Johnson Group since 2017.
Ecover manufactures detergents and cleaners for laundry, dishwashing, household cleaning, and personal hygiene. All its products are biodegradable, and the “Zero” line is free of fragrances, dyes and enzymes that can cause allergies.
In 1992 the company built its production plant in Malle, Belgium, for the increased sales volumes, which featured high ecological performance for the time and was further improved over time. In addition, the United Nations decided to include the company in the Global 500 Roll of Honor list for outstanding achievements in protecting and enhancing the environment. This is the first of many awards the brand has received throughout its history. Other milestones in the company’s history include the “Steal our formula” campaign in 2000, which challenged its com
petitors to commit to making more sustainable cleaning products by making the ingredient list of its products public, as well as the creation of new eco-surfactant from sugar fermentation instead of petroleum in 2009.
While in the early years, the company’s main focus was on formulating cleaning products that were increasingly less impactful on the environment, over time, the growing concern about plastic pollution began to take its place in the company’s policies. Ecover, in fact, began several experiments in making packaging more recyclable, then incorporating increasing amounts of second-use plastic and also experimenting with plant-derived bioplastic.
In addition, the company has initiated several projects together with environmental associations to protect water and oceans, such as WaterAid. But that’s not all: they realized a limited edition of Ecover dishwashing detergent, the container of which is made of “Ocean plastic.” The plastic is collected in collaboration with the European “Waste Free Oceans” project, which strives for a safe and fair collection of waste from the sea. European fishermen are paid to catch plastic from different European seas and deliver it to port collection points. This provides two to eight tons of plastic waste per fishing trip, which can be used by Ecover but also for other downcycling projects.
In addition, Ecover has espoused the refill philosophy through the possibility of purchasing its detergents in bulk from a vast network of stores in Belgium, the U.K., and France. The company does not speak explicitly through its communication about a circular economy, but it does aim to achieve closing the loop. Having obtained B-Corp certification, the company also controls its energy, water and carbon impact consumption at all times. It is committed to working with suppliers who can guarantee high environmental performance. In addition, raw and secondary raw materials are sourced as locally as possible, that is, in Belgium or within the European territory.
【Impact Statement】
Some figures and commitments from the company:
•They were included in the UN Global 500 Roll of Honour for outstanding achievements in protecting and improving the environment
•They are launching a 100% recycled plastic (PCR), recyclable, washing-up liquid bottle
•They are working towards using 100% reusable, recyclable or compostable packaging by 2025
•They are working with the Ellen MacArthur Foundation They discovered and patented a new eco-surfactant alternatives
【Systems Perspective】
In 2021, the global household cleaners market was valued at about 38 billion U.S. dollars. The value of this market has been expanding in recent years and is projected to keep growing, reaching roughly 47 billion U.S. dollars by 2026. Statista, a provider of market and consumer data, says, “Demand for cleaning products continues to grow, partly due to consumer awareness concerning the importance of hygiene and the spread of infectious diseases. The global market is benefiting from an increased focus on the importance of sanitary conditions and the need to disinfect household surfaces.”
While the increase in the use of cleaning products is also due to the Covid-19 pandemic, so for the protection of human health, it cannot be said that this is necessarily a good thing on all fronts. The environmental impact of detergent use is vast and has long been problematic. Detergents and cleaning products, in general, to work, contain surfactants that increase the degreasing power of the product. Some of these are petrochemical in origin, are non-biodegradable and have a high impact on the environment both during extraction and release. In addition to surfactants, other synthetic substances found in detergents can also be a problem for the environment. For example, ammonia, widely used in household surface stain removers, is made from nitrogen and hydrogen, often obtained from fossil sources. Industrial waste generated during production can end up in soils, seeping down to the water table, again polluting rivers and seas and creating problems for flora and fauna. According to a recent scientific paper (Mousavi, Khodadoost, 2019), “Detergents affect fauna and flora, and they have direct and indirect effects on ecosystems. Eutrophication, foaming, and altering parameters such as temperature, salinity, turbidity, and pH are more important, and their effects need to be managed and controlled. Researchers confirmed that aerobic processes are able to degrade the most of detergents but anaerobic degradation is not possible because of restricted metabolic pathways and toxicity of them. Therefore, production of environment-friendly detergent is an important issue around the world.”
It is encouraging, however, to see how sustainability is increasingly becoming one of the most critical purchasing factors among consumers worldwide. In fact, there are a growing number of companies offering green cleaning products (see also Everdrop case), from micro businesses on a local/national scale to brands such as Ecover that, over their 40-year history, have decided to grow in volume to become part of a multinational corporate giant such as SC Johnson.
This is not necessarily a sustainability choice, partly because of the following reasons:
1) S.C. Jonhson offers, for the most part, a range of non-sustainable products – and therefore, it is reasonable to think that the acquisition is part of a plan to diversify the portfolio of subsidiaries to follow the growing market trend for environmentally friendly products; and
2) entering the North American market without apparently changing production conditions (i.e., the three factories in Belgium, France, and Switzerland) means importing cleaning products overseas, with all that this entails in terms of carbon footprint. Nonetheless, the benefits associated with being part of a multinational group include funding for research and development of increasingly sustainable solutions, as well as initiating communication and marketing campaigns that affect consumer behaviour on a broad scale; thus, ultimately helping to create greater attention and awareness towards everyday products and their environmental impact.
Sources:
Mousavi, S.A., Khodadoost, F. Effects of detergents on natural ecosystems and wastewater treatment processes: a review. Environ Sci Pollut Res 26, 26439–26448 (2019).
https://www.statista.com/markets/415/topic/470/cleaning-products/#statistic1
【Links and Contact Information】
Links
Company website: https://www.ecover.com/global/
Global head of Long Term Innovation at Ecover + method: https://www.linkedin.com/in/tom-domen-3291228/
Director: https://www.linkedin.com/in/tim-koogle-9b42014/
Social media accounts
LinkedIn: https://www.linkedin.com/company/scj-lifestyle-brands/
Instagram: https://www.instagram.com/ecover_uk/
Facebook: https://www.facebook.com/EcoverUK/
*All pictures in this case come from the Ecover website and social media channels.
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